大分精神障害者就労推進ネットワーク「事業計画」
 「事業計画」は、基本計画と今年度の取り組み方針に分かれています。基本計画では「ネットワーク」の目標を明らかにし、取り組み方針では具体的な事業を示しています。


基本計画 − 大分精神障害者就労推進ネットワークが目指すもの
 このネットワークが目指すものは、精神障害がある人たちと地域をしっかりとつなぐことです。
 雇用する立場の人たち、医療に従事する人たち、福祉サービスを担う人たち、そして行政として精神障害者の地域生活を推進する人たち ― 様々な立場の人びとが手をつなぎ、精神障害がある人たちを中心にした人の輪をつくっていくことによって、生活を安定させるとともに積極的に就労を進めていきます。 そのための三つの基本方針を提案します。


1.生活の現状と課題を明らかにします − 調査の実施
 精神障害がある人たちの就労の実現には様々な困難があります。何が就労のカベになっているのか、どこをどう支えれば生活を安定させ、就労に結びつけていくことができるのかを明らかにすることが第1の課題です。
 精神障害がある人たちが抱いている働くことや日々の暮らしへの想い、家族の想い、そして雇用する側やサポートする人びとの想いを、汲み取るための作業が必要です。
 これまでそれぞれの分野で、手探りで取り組まれ、経験として蓄積されてきた様々な情報を集約して共有するとともに、より具体的かつよりきめ細かに暮らしぶりを調査し、精神障害がある人たちがよりよく暮らすために必要なニーズを明らかにします。


2. よりよい暮らしのための具体的な提案をします − “大分モデル”の開発
 私達を取り巻く福祉、医療などの制度や仕組みは、ますます複雑になっています。精神障害がある人たちも、サポートする人たちも、これを効率よく利用していくのは、至難の技となっています。
 そこで、障害がある人たちが大分県内で就労する場合の具体的なステップを“大分モデル”として確立し、実際の就労に結びつけていくことをめざします。
 “大分モデル”は、日常生活のサポートから求職、就労後の継続まで視野に入れ、福祉、医療、行政による支援のあり方や、家族の対応、地域住民の理解と協力などについて、きめ細かく具体的に提案します。
 そのために、実際に様々な立場の人たちが共同作業を行いながら、就労推進のあり方を検討し確立していくための試行事業を設定することなどを検討します。


3.広く情報を発信します − 情報発信
 実態を把握し、道筋をつけることと同時に、様々な情報を共有することが重要です。
 障害者自立支援法の成立や障害雇用促進法の改正など、精神障害を持つ方たちを取り巻く生活環境は大きく変化しています。また、今後も変化することが予想されます。
 このネットワークは、精神障害がある人たちとサポートする人たちの定期的な交流と意見・情報交換の場であるとともに、より広く情報を発信していく場でもあります。
 精神障害がある人たちの生活を応援するために、生活・就労情報を発信すると同時に、シンポジウムやセミナー、研修会の開催(企業、自治体担当者、福祉関係者、医療関係者、当事者と家族など)を通して、地域が精神障害がある人たちに正しい理解を持って受け入れを拡大していくための情報提供を進めます。


今年度の取り組み方針 − 大分精神障者就労推進ネットが今、取り組むべきもの
 大分精神障害者就労推進ネットが今年度取り組むべき事柄について、主要な三つの具体的事業を紹介します。


1.大分精神障害者就労実態第2次調査の実施
 @ 昨年8月に実施した大分精神障害者就労実態一次調査の結果( コチラ に掲載)を分析し、精神障害がある人たちの就労を困難にする要因を明らかにします。
 A 一次調査で明らかに出来なかったことや、今後、明らかにする必要があることを吟味し、二次調査を計画し、18年度中に実施します。また、量的な調査に加えて、精神障害がある人たち一人一人が抱いている就労や地域での生活に対する想いが、多くの方に伝わるような質的調査の実施も検討します。


2.“大分モデル”の開発に向けて
 @ これまで保健医療、福祉など様々な分野で取り組まれて来た、精神障害がある人たちへの就労支援に関する取り組みを集約します。
 A “大分モデル”開発への道筋を明らかにするため、プロジェクトチームを設置し、今年度中に具体案を作成します。
 B “大分モデル”の開発を具体化するために、情報の集約や就労相談、作業訓練、福祉関係者や学生の研修などができる「精神障害者就労情報サロン」(仮称)づくりを検討します。


3.情報発信の取り組み
 @ 障害者自立支援法や障害雇用促進法の改正など、精神障害がある人たちの就労や生活に役立てる情報を幅広く集めます。
 A 精神障害がある人たちへ、就労や生活について情報発信するためのシステムを検討します。
 B 精神障害がある人たちと、地域の社会資源を結ぶために取り組みます。
 C 就労の推進を図るために、関係機関の理解と協力を得ながら、次の行事の開催をめざします。

・「精神障害者の就労を考える大分シンポジウム」
 第2次調査の結果を報告するとともに、研究者や地域の福祉関係者、医療関係者、行政、当事者などによる意見交換を行います。時期は来年2月頃にしたいと考えます。

・「精神障害者就労推進セミナー」
 福祉関係者向け、医療関係者向け、当事者・家族向けに、制度の解説や活用方法について説明するとともに、それぞれの立場の人たちが抱えている疑問や問題点に答える場として、10月から12月にかけて開催したいと考えます。