第一回 サニーハウス

 「職場訪問」のきっかけは、大分市の戸次で農園を営んでいる首藤さんのお話でした。
 今は息子さんと二人で作業をしていますが、「農業は精神障害がある人に向いていると思うので農園を広げて多くの人が働ける場にしたい」とのことです。
 ネットワークを設立して以来、多くの声が寄せられていますが、農園作りの提案は初めてです。早速、「実際に農業を実践している所を見に行きましょう」ということになりました。


1万本を超すスプレー菊
   昨年のセミナーで紹介された宇佐市の福祉工場「豊の郷」をはじめ、精神障害者が働いている農園は県内にもいくつかあります。今回は県南にということで白羽の矢が立ったのが佐伯市の「サニーハウス」。首藤さん、安部事務局長など4人で7月19日に訪れました。
 長引いた梅雨のため、雨が降ったりやんだりの天気でしたが、施設長の五島さんやスタッフ、利用者の皆さんがあたたかく迎えてくださいました。
 大きなハウスが2棟、1万本を超すスプレー菊が苗から花まで、順番に整然と並んでいます。照明や遮光により1年中出荷できるようにしており、市内の七店に出しているそうです。
 県で農業関係の仕事をされていた五島施設長が退職後、その技術をフルに生かして省力化し効率的に作業できるようにしています。立派なハウスは、農協が作って使われていなかったものを有償で借りているということで、作るよりはずっと安く上がっているそうです。



農業は治療効果も期待できる
 ハウスでの仕事は暑いし、楽な仕事ではなさそうに見えますが、バテたり休んだりすることはほとんどないそうです。売り上げもかなりあり、利益は労働時間に応じて均等に配分し、月に一人約二万円位になるとのことでした。
 「農業は精神障害者に向いている」。五島施設長はこれまでの実績の上に、自信を持って語ってくれました。同じように感じていた首藤さんも「この言葉を聞けてよかった」とうれしそうでした。新しいハウスの建築費は一反2000万円ほどかかるとのことで、資金が大きなネックになります。しかし首藤さんは、「農協や行政にあたりながら、一歩一歩進めていきたい」と歩き始めています。
 就労に加え治療効果も期待できる農業 − 積極的な支援策が欲しい分野だと感じました。

サニーハウス 佐伯市大字木立字大中尾 Tel 0972−28−3003