第二回 大分県渓泉寮
生活と就労を組み合わせた支援
 当寮では平成15年4月から保護施設通所事業を行っています。当寮の退所者や地域の要保護者19名が生活リズムを整えるため福祉農園で日中活動や生産活動に取り組んでいます。通所だけではなくアパート訪問や職場訪問も行っています。
訪問では、「食事はしっかり食べているか。服薬はできているか。睡眠はとれているか」等を確認します。生活面が乱れてくると就労にも影響し働くことが難しくなるからです。
生活支援・就労支援を一体的に行うことで、生活面・精神面・就労面の安定を図り、住み慣れた地域で継続した居宅生活が送れるようにと配慮しています。今の所、通所のメンバーは元気に日中活動や生産活動に取り組んでいます。


立体式回転ベンチでセントポーリアの手入れを行っています。


日中活動・生産活動を支える福祉農園
   福祉農園は、財団法人日本宝くじ協会の助成金を受けて、昭和63年に「障がい者の自立、就労」を実現することを目的に水耕栽培(ミツバ)温室1棟972u、花卉温室(セントポーリア等)1棟189u、新作目栽培温室1棟180uが建設されました。水耕栽培では移動式の水耕栽培ベンチシステムが開発され、花卉温室では立体式回転ベンチシステムが開発され、障がい者の負担軽減を考えた工夫がなされています。
 利用者の高齢化や重度化に伴い動労力が低下していく中、利用者の体力やニーズに合わせた「身体的に無理とならない作業、精神的に負担とならない作業」を行うには福祉農園は欠かせない設備となっています。障がい者や高齢者が安心して働けるようにと配慮されています。
 福祉農園の主な作物はミツバ、セントポーリア、観葉植物、四季折々の花苗です。ミツバはJA大分市へ出荷を行い市場のセリにかけられます。セントポーリアや観葉植物等は大分市・別府市の市場や地域のスーパーマーケット等に出荷しています。施設での販売も行っており直接お客様と接することで、消費者、生産者の顔が見え交流も深まり、固定客が増えています。


出荷前のミツバの手入れを行っています


就労の実体験で緊張感を
 福祉農園で働いているメンバーは、福祉農園以外でも寮外実習として、老人保健施設、テーマーパーク、農園等へ行き作業を行っています。就労意欲の向上を継続するためには福祉農園だけでは無理な部分があります。実際に外部で就労の実体験を行うことでマナー・ルール等の習得が図れ、緊張感を持った取り組みができています。今年は3名の方が企業で働くことができました。        (報告:糸永倫子)

大分県渓泉寮 日出町大字藤原4617 Tel 0977−72−2521